(レビュアー: F.M)
トキナーの大口径標準ズームは、最初のモデルが1988年に発売されてマイナーチェンジを繰り返し賞味期限切れとでも言うべき状態だったAT-X AF 28-70mm F2.8が唯一の製品だったが、本製品の発売で完全にリニューアルされた。
機能面で28-70mm F2.8の一番の泣き所は最短撮影距離が70cmと長くクローズアップに弱い点だったが、本製品では50cmとようやく他のメーカーに追い付いた。
画質についても28-70mmより全体的に向上しているが、絞り解放時の描写の甘さは前モデルと同じ傾向だ。
操作性の点では、前モデルのフォーカスリングフリー機構からワンタッチフォーカスクラッチ機構に進歩した。
前モデルのフォーカスリングフリー機構ではフォーカスリングを操作することでAF時にピントリングが回転しないようには出来たが、加えてAF/MFスイッチの切替も必要であった。
それに対して、このAT-X AF 28-80mm F2.8 PROのワンタッチフォーカスクラッチ機構ではフォーカスリングの前後操作だけでAF/MFの切替もできるようになった。もちろんオートフォーカス時にフォーカスリングは回転しない。
現在ではテレ側が70mmを超える大口径標準ズームはレンズメーカー製ではタムロンのSP AF28-75mmF/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (A09)があり、画質も良く小型軽量だ。
またタムロンにはSP AF 28-105mm F/2.8 LD Aspherical IF(176Dおよび276D)があるが、これよりはトキナー28-80mmの方が画質については全てにおいて上と言える。