(レビュアー: M.K)
タムロンのXRテクノロジーによって驚くほど小型軽量化された高倍率ズーム。
高倍率ズームと言えば便利ではあるがその画質の割に大きくて重いというのが常識だったが、このレンズの登場によって標準ズームと大差ない大きさ・重さになった。
300mmまでカバーしているとは思えないほど小さくて軽い。
フィルター径62mm・重さ約420gはF3.5-4.5クラスの中級標準ズームとほとんど変わらない。
画質については、高倍率ズーム全てに言えることだが客観的に評価すれば低いレベルに留まる。
いくら画質向上を謳っていてもこれは不変だ。
やはり高倍率ズームは全てをレンズ1本で賄わなければならない状況で使うのが最適だろう。
標準ズーム並みの大きさ・重さなので望遠ズームと組み合わせて標準ズームとして使うことも考えられるが、標準ズームのズーム域においても一般的な標準ズームに比べて画質は劣る。
とは言っても、絞り解放でもまずまずコントラストが高く、初期の高倍率ズームとは雲泥の差というほど総合的な画質は向上している。
解像性能の点でも2L判程度までのプリントなら問題はない。一般的なユーザーが、撮影そのものが目的ではない用途で使うには十分な性能があるということだ。行事、行楽、散歩など活用できるシーンは多い。
デジタル一眼の画素数がいかに増えようとも同じサイズでプリントする分にはレンズに必要となる性能も変わらない。
いずれにしても自身の用途に高倍率ズームが適役かどうかはどこまで画質を割り切れるかによる。
用途が合えばズーム全域で最短撮影距離50cm・テレ端での最大撮影倍率が0.34倍 (1:2.9)というのも万能レンズになり得る素質だ。
旅行用などに一本持っておいて損はない。
2004年にマイナーチェンジによりAF 28-300mm XR Di F/3.5-6.3 LD Aspherical [IF] MACRO (モデルA061)となった。
外観・仕様はほとんどそのままでデジタルに最適化して画質を向上させたとしているが、実写してみると明確にわかるほどの差はなかった。