(レビュアー: H.B)
初代AT-X840は、400mmズームで重さ1kgを切った画期的なレンズだった。
その重さ(軽さ)は950g。
三脚座には対応していなかったが、IIからはコンパクトな三脚座が標準装備となった。
全長が他の400mmレンズより大幅に短く、普通のカメラバッグに普通に収まるというのが全てのモデルに共通する特長。
他の400mmレンズは大きく重く、持ち出すにはそれなりの覚悟が必要だが、このレンズならいつでも気軽に持ち出せるだろう。
ただし三脚座付のII、Dでは三脚座の取り外しはできないので、重量、収納性ともやや不利になる。
他の400mmと比べた場合、何かとトレードオフでこの小型軽量を実現していると考えるのが自然で、画質に関しては他の400mmに大きく及ばない。
200mmまでは良好に解像するが、テレ端400mmではかなり甘い描写となる。
そのため、画質を求めるなら絞って使いたいが、400mm F5.6で絞り込むとなると三脚は必須で、気軽に持ち出せるというこのレンズの特長とは相反する部分がある。
300mmならば選択の幅が大きく広がるので、まずは本当に400mmが必要かどうかを熟考されたい。
専用クローズアップレンズが用意され、装着時は最短撮影距離1.4m、1:2.7(0.37倍)となるが、あくまでクローズアップレンズである。
AT-X840IIでは三脚座装備となった。
三脚座の取り外しは不可能。
最大径、全長やフィルター径などは変わっていない。
三脚座が装備された分、重さは約1050gに増加している。
その他、持ち歩き時にレンズが伸びるのを防ぐためにワイド端でズームを固定するズームロック機構が装備された。
AT-X840Dは、AT-X840IIを元にデジタル向けに最適化を行ったモデル。
光学系や構造はAT-X840IIからほとんど変わっておらず、主にコーティングや内面反射に関する変更と思われるが、一番の弱点である400mmでの解像性能などはほとんど変わっていない。
フードにはPLフィルターのフィルター枠を回転させる機能が付いた。
公称990g。
AT-X840Dはキヤノン用、ニコン用だけの発売となっている。